恋のしるし~GIRL’S♪SONG~
その頃、すでに俺は腹黒だった。


-放課後


校舎裏に来た女の子。
中2の島田 香奈。


美希が近くに来たのを確認すると、
俺はわざとらしく


『何?』


って聞いたんだ。


『か、香奈ね、あなたの事が好きなの!』


島田からは手紙貰って、その中に

-放課後、校舎裏に来て下さい-

って書いてあったんだ。

と同時に、

-私はあなたの名前も知りませんが…
あなたは私の名前を知っていますか?-

なんて風変わりな文まで書かれてた。


別に、その程度の気持ちなら利用しても大丈夫。

そんな浅はかな俺の考え。


『つ、付きあって欲しいのっ…!!』


背後でパキッと枝の折れる音がした。


…美希だ。


俺は、何も答えずに、女の子を抱き締めた。


『えっ…。』

『俺の名前は長谷 元哉。
君の名前は?』


走り出す音が聞こえた。

美希がこの場を去ったんだろう。


『あれっ、今誰か…?』

『気のせいじゃ無い?』


んなわけ無いけど。


『あ、香奈の名前、島田 香奈。』

『香奈チャン…か。』


名前を聞くと、俺は香奈から離れた。
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