ぶるー。
時々、何もかもを投げ出して逃げてしまいたくなる。何もいらない。何もかも捨ててしまっても構わない。だから、このまま消えてしまいたい、と。そうしてまた思う。ああ、これも何処かで聞いたような台詞だ。
『結婚するんだ』
それは、突然の知らせだった。私はもちろん彼の彼女ではなかったけれど、ただの友達よりは大きな存在だろうと思っていた。だけど私は何も知らなかった。彼の今のことを、何も。何年か前の同窓会で、腐れ縁、と言って笑った彼の横顔を思い出す。
私はタイミングを逃したのだろうか。それとも私には、始めからチャンスなんかなかったのか。今となっては、もう確かめようもない。そんな夜に限って月がやけに綺麗で、私はベランダの手すりに頬を押し付けながら缶ビールを煽った。
私は何のために生きているのだろう。そんな何処かで聞いたことのあるようなフレーズを呟きながら、それでもやはり毎日を淡々と過ごしている。その時には果てしなく長く感じる時間も、一日が過ぎる度にその早さを知る。
「もういいわ」
書類を投げ捨てるようにデスクに置いて、上司がため息まじりに言った。
「この間、言ったわよね。時間がないって」
「申し訳ありません」
「・・・残念だわ」
そう言って、彼女は席を立った。デスクの前に取り残された私は、ただ俯くしかなかった。
『結婚するんだ』
それは、突然の知らせだった。私はもちろん彼の彼女ではなかったけれど、ただの友達よりは大きな存在だろうと思っていた。だけど私は何も知らなかった。彼の今のことを、何も。何年か前の同窓会で、腐れ縁、と言って笑った彼の横顔を思い出す。
私はタイミングを逃したのだろうか。それとも私には、始めからチャンスなんかなかったのか。今となっては、もう確かめようもない。そんな夜に限って月がやけに綺麗で、私はベランダの手すりに頬を押し付けながら缶ビールを煽った。
私は何のために生きているのだろう。そんな何処かで聞いたことのあるようなフレーズを呟きながら、それでもやはり毎日を淡々と過ごしている。その時には果てしなく長く感じる時間も、一日が過ぎる度にその早さを知る。
「もういいわ」
書類を投げ捨てるようにデスクに置いて、上司がため息まじりに言った。
「この間、言ったわよね。時間がないって」
「申し訳ありません」
「・・・残念だわ」
そう言って、彼女は席を立った。デスクの前に取り残された私は、ただ俯くしかなかった。