キスミー
運命かと思った。
◇゚ プロローグ ≪E・M≫
「ぎゃっ!!!」
親切心で動いた俺の手は、
彼女の悲鳴と共に宙ではじかれ、
彼女はBダッシュで俺から逃げていった。
「………チッ」
ハンカチ拾ってやったんだから、
礼くらい言って欲しいね。
まあ別に慣れてるけど。
「ちょっとミキ、大丈夫だった!?」
「うんっ!…あーあ。このハンカチお気にだったのにぃ~」
さっきの女は、友達に俺の愚痴をこぼしている。
丸聞こえだっつーの。
てゆーか俺、
別にハンカチ汚すほど汚くねえし。
……えっと、どこまでいったっけ?
俺は、お気に入りの本をペラペラとめくり、
さっきまで読んでいたページを探した。
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