I love U
I love U
 次の交差点が青信号だったら、そんな子供じみた賭けを心の中で唱えて顔をあげた。

 公園のベンチでは野良猫が気持ち良さそうに伸びをしていた。私が隣に座っても、全く目もくれずに。夕暮れの公園は何だか淋しい。子供たちや、お母さんたちが段々と手を振って帰っていく。忘れられたサッカーボールがぽつんと転がっていたりして、昼間の騒がしさの名残が胸にじんと染み込んでくる。
「さみしいぞー」
呟いてみて、手にしたケータイの液晶を覗きこむ。時刻は午後5時。子供のころ5時といえば、さよならの時間だった。明日になれば嫌でも学校で顔を合わせる友達だけど、さよならする瞬間にはいつも淋しくなった。
 気づけば公園はすっかり静かになって、さっきから伸びたままの薄茶色の野良猫と私だけになっていた。
< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop