サンタさんと受験生
サンタの袋が軽くなる頃には空が少し明るくなってきていた。
どのくらいの時間がたったのかはよく分からない。
そして袋の中の夢は後一つしか残っていなかった。
それは淡いピンク色の光だったが対象となる子の家の上に来たとき、何故かサンタは寂しげな表情になった。
「どうしたんだ?早く仕事終わらせないと夜が明けるぞ。」
「うむ。」
サンタは手からピンク色の光を落とそうとしたが、そいつは重力に反発するようにサンタの元へと戻ってきた。
「どういうことだ?」
俺は首を傾げて聞いた。
「この下にはまだ小学生にもならない女の子がいるんだが。」
サンタはまたうむむと唸った。
「どうやら私は嫌われてるらしい。」
「サンタクロースが?」
俺にはさらに訳がわからなくなった。