サンタさんと受験生
俺は少女をベッドまで運んで布団をちゃんと被せてあげた。
「君にはサンタの素質があるようだね。」
窓の外にはサンタが優しい笑みを浮かべて俺を待っていた。
「…自称助手だし。あとは帽子のおかげだ。」
俺は少女を起こさないようになるべく静かに窓からソリへと移った。
「さて、私の仕事はまだ一つ残ってる。」
サンタはトナカイの手綱を軽く引っ張った。
トナカイはそれに答えるように空を走り出す。
「残ってる?」
俺は後ろにある、夢が一杯入っていた白い袋を見ていた。
そこにはもう何も入ってない。
「君を家に帰さないとね。」
言いながらサンタはトナカイをさらに早く進めた。