サンタさんと受験生
「それにあまりに高価なものはあげられないしね。例えば家とか。」
「…そんなもん欲しがる子供がいるのか。」
えらく現実的だな。
「だから私達の仕事はクリスマスの夜にはいい夢を見てもらえるようにすることに変わったんだ。クリスマスの夜に悪夢なんて見て欲しくないからね。」
「ふーん。」
俺は窓からサンタを見つめていた。
「さて、夜明けが近いから私も帰らなくてはいけない。が、その前に私も君に訊きたい事がある。」
「何?」
「君は勉強が好きだからクリスマスの日も勉強をしていたんじゃないんだね?」
「勉強は別に好きじゃないけどあんたも知ってるように俺の家は家計が火の車だからさ。今は弟のプレゼント買えるだけましだけど。」
俺は弟をちらっと見た。
やっぱりまだ寝てるな。