名も無き花
送信中…送信中…送信中

『送信が完了しました』

送った内容はヘタレすぎるため非公開の方向で。

返ってくるまでの時間が、激しくつらいのは言うまでもない。刑の言い渡しを待つ感じだろうか?

重病の診察結果を待つ感じだろうか?
余命宣告を受けて死を眼前に待つ感じだろうか?

経験浅い俺には、この重圧はとても耐えられるものじゃなかった。
気づけばやっぱり『それ』の前にしゃがんでいる。


別に『それ』は俺に何かしてくれるわけではない。
語りかけてくるわけでもない。目の前で幸せそうな?寝顔をしている。

…今さらだが、裸で寒くないのだろうか?

そもそも生物か??


謎だらけだ。むしろこの非現実を受け入れてしまっている俺のが謎だ。
そんな事を考えていると、ケータイの着信音が鳴り響く。


心臓が飛び跳ねるとは、こういうのを言うんだろうか?
やばい、メールを開くのにボタンを押す指が震える。でも、『それ』を前にしているせいか妙なスリル感に頭が侵され始めた。


やっぱり、今日の俺もおかしい・・・。
意を決して、ボタンを押した。
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