名も無き花
わからないと言うのは、なんとも困る…。

どうしようもない返答だ。


次の言葉を考える。


「言葉はしゃべれないの?」


何となく気になった。耳が聞こえるなら言葉が喋れるのが普通だ。
喉に障害がない限り…。


『それ』は、またさっき書いた文字を消して地面に書き始めた。

『はぃ、こえがでないんです。』


期待を裏切らない返答ありがとう。


「名前は何ていうの?」


呼ぶのに『それ』では、さすがに可哀相だ。


と、言うのは建前で、純粋に興味からの発言だ。
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