名も無き花
「今あたしの事いやらしい目で見てたでしょー?」

はい、見てました!とは言えないよな。

「ねー、どうなのぉ?」

口元が意地悪に笑っている。

「怒らないから、おねーさんにほんとの事言お?」

正直、言葉が浮かばない。頭の中、真っ白。



「……何も言ってくれないのね」

今度は打って変わって、寂しそうに瞳を揺らし始めた。

「あたし、あいちゃんにだったらそーいぅ目で見られても全然いんだけどな」



どう間違ったら、そんな言葉をサラリと吐けるのだろう…。

と言うか少しは俺に考える間と喋る時間を与えて欲しい。

そんな事考えているうちに、彼女の視線は俺のケータイの画面に落ちて行く。



…終わった。
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