名も無き花
歩道を歩くこと、5分


ほんとは入りたいラーメン屋が見えて来た。

最近できたばかりで、実は評判がいい。


お昼時を若干過ぎてると言うのに、待ち合い所は満席だ。

今度寄ろう。是非寄ろう。


そんな事を考えながら、通り過ぎた。後ろを歩く水谷さんの足が止まった。

腕を強く引っ張られる。

「どうかした?」


「あの、えっと…、ラーメン食べたいな!」

突然の申し出に俺は戸惑った。

断る理由も質問を重ねる理由も見当たらない。


「うん、いいけど…」

「じゃ、早くはいろ!!寒い日はラーメンだよね、うん!」

そう言って、俺の腕をぐいぐい引っ張る。

何かおかしい、疑問を覚えながら引きずり込まれる俺。
< 124 / 141 >

この作品をシェア

pagetop