名も無き花
待ち合い所で待つ事30分


なんというか、間に困る。



何かないだろうか?
苦し紛れにあたりを、見回す。

………何もない。


「カンダ様、大変おまたせ致しました。お席の方が空きましたのでどうぞ。」


救いの一声!


「喫煙席になってしまいますが、よろしいでしょうか?」

「何処でもいいですよ」


この状況が変えられるなら…。


「かしこまりました。では、こちらへどうぞ。」

案内された先は、喫煙席。

隣りのテーブルに座っているサラリーマン二人がタバコをふかしている。


だから、正直煙い。食事がまずくなりそうだ。

「ご注文の方が、お決まりになりましたら、そちらのボタンを押しておよびください。」

軽く一礼して店員は、カウンター奥へ消える。


「ちょっと煙いねぇ」

苦笑いして小声で水谷さんが話しかけてきた。
その一言に、とても救われる。
< 127 / 141 >

この作品をシェア

pagetop