名も無き花
「んー………」

彼女は目を見開いて、俺の打った『メアド教えてくんないかな?』の文字を見つめている。

「これって、友達に送るメールじゃないよね?」

今度は目がマジだ。その視線に耐えきれず、気が付いたら彼女を指差してた。

「ん?あたしがどうしたの?」

「君に」

これが今精一杯の、自爆。



「えーと…」

戸惑うのも無理ない。戸惑っている彼女も可愛い。

「……あいちゃんが喋ったぁ!!」

そっち?

「やだ、ほんと嬉しい」

瞳が微かに潤んでいるのを、俺は見逃さなかった。しかし、そんな嬉しい事だろうか?

「しかも、あたしの連絡先が知りたいって!」



彼女に対する疑問符が増える一方だ。
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