名も無き花
喫茶店に入ると、結構俺好みのウェイターの出迎え。

「いらっしゃいませー、何名様でしょうか?」

「二人です」

俺より先に彼女が答えた。

「禁煙席の方がよろしいですか?」

「はい」

「ではこちらへどうぞ」

ウェイターが案内し始める。それに彼女、俺の順番に続く。

これってかなりかっこわるいよなぁ…。


「ご注文がお決まりにになりましたら、そちらのボタンを押してお知らせください」

なれた口調で説明すると、テーブルの上に二人分のメニューを置いた。
軽くお辞儀をしてカウンターの奥へと消えて行った。


「綺麗な人ね…」

彼女がぼそっと呟いた。

「正直、君の方がレベルたかいよ」

しばしの沈黙。
お互いの視線が交差する。


同時に吹出した。

「俺ってばダセー」

笑いながら言った。

「今時そんな決まり文句言う人いないわよ」

口をおさえて笑いながら彼女は言った。
照れで目を直視できない。


あーなんでこんな事になってるんだろ…俺。
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