名も無き花
歩きながらも会話は続く。

話の中には当然、出身とどこから大学に通っているかと言う話題がある。
初対面なら9割の人がこの話題をするだろう。

俺たちも例外なくその話題で次の話題までの間をかせいだ。

話しているうちに、小林さんと帰る方向が一緒だと分かった。

次に時間割の話だろうか？
半分くらいの人はするだろう。
やっぱりお互いのスケジュール的なものは把握しておきたい。

流れでバイトの話をすることもあるが、さすがにその方向へ話は進まなかった。

「昭ちゃんと佳奈さー、今日同じ時間に終わるみたいだし一緒に帰ったらぁ？」

言い出したのは茶髪の子だった。

「正直、悔しいけど二人って結構合ってると思うんだよねぇ」

茶髪の子が続けてぼやいた。俺の腕に絡めている茶髪の子の腕に力が入った気がした。



「あ！昭君のケー番とかしりたい」

金メッシュの子が空気を断ち切る様に言い出した。

「あたしもー」

茶髪の子が続く。
拒む理由はどこにもない。悲しき男の定を垣間見た気がした。
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表紙・目次

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