名も無き花
いつもは寝る前に消す庭の明かりを今日は消さなかった。
消してしまったら『それ』が消えてしまいそうで怖かったから。


特にやることもないから
いつも通り適当に冷蔵庫の余り物で夕食を済ませて
簡単に入浴して布団に入った。


珍しく、枕元にケータイ。

着信音がくらい部屋に響く、約束通り愛川さんからメールが届いた。


今、ベッドに寝転がりながら雑誌を読んでいるらしい。


特に興味のない話しだが返さないと明日が怖いから努力した。


会話の内容はヘタレすぎて公開できない…。
なんでこんな俺と話したがるのだろう?


窓から差し込む月明りが睡魔を誘う。

このメールだけ送信したい…

送信ボタンに指をかけた。
押した。


「…おやすみ俺」



他に言う相手もいないから、自分に言って終わる一日。
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