名も無き花
休憩
☆音がやむとき★
耳障りの悪い電子音があたしを現実に引き戻す。
気付けばそこは、草原。
頭の中に広がっていた世界がスーッと消えた。
耳の中で踊っていた、ケータイのキーを押す音は途絶えて、なぜか寂しさに襲われた。
ウサギのケータイの画面を覗くと『充電してください』の警告。
ウサギはあたしに意地悪そうな視線を送ってきた。
まるで
「続きが読みたければ、またこい」
と、言っている様だ。
そして踵を返した。あたしはそれをただ見送った。
「…充電してくださいだって」
意味もなく言葉が口から零れた。
「小説の中のヘタレとかわんないじゃーん!!」
気付いたら叫んでいた。
あたりはいつの間にか暗くなっていて、あたしの声は薄暗がりの林に呑みこまれた。
月が綺麗に光ってる。
ウサギの小説と同じ、真ん丸お月様だ。
「あのウサギ、月でモチついてるウサギの兄弟だったりして」
…笑えない。けど言ってみたかった。
気付けばそこは、草原。
頭の中に広がっていた世界がスーッと消えた。
耳の中で踊っていた、ケータイのキーを押す音は途絶えて、なぜか寂しさに襲われた。
ウサギのケータイの画面を覗くと『充電してください』の警告。
ウサギはあたしに意地悪そうな視線を送ってきた。
まるで
「続きが読みたければ、またこい」
と、言っている様だ。
そして踵を返した。あたしはそれをただ見送った。
「…充電してくださいだって」
意味もなく言葉が口から零れた。
「小説の中のヘタレとかわんないじゃーん!!」
気付いたら叫んでいた。
あたりはいつの間にか暗くなっていて、あたしの声は薄暗がりの林に呑みこまれた。
月が綺麗に光ってる。
ウサギの小説と同じ、真ん丸お月様だ。
「あのウサギ、月でモチついてるウサギの兄弟だったりして」
…笑えない。けど言ってみたかった。