名も無き花

☆手招き★

意識の遠のく感じがした。あわててお風呂から飛び出ようとしたが、立ち暗みで思う様に体が動かせない。


壁に手をついて意識が回復するのを待つ。

スーッと視界がクリアになっていく。ドアを空けて外へ出る。

下着を身に着ける。ブラは着けなかった。

「小説なんか真に受けるわけじゃないけど、やっぱりチャッチィのは嫌」

自分に言い聞かす。はたから見たら多分変人。

「あたしは、まだ16歳だし手遅れじゃないのだぁ」

声に出してしまった。…ちょっと後悔。

着替えを済ませ、リビングへ直行。テレビをつけた。
ちょうど23時。

「さすがにファーストキスなんてダサイタイトルのドラマはやってないなぁ…」

やっていたらある意味問題なんだが…。


雰囲気だけでもと、取りあえずベタベタ恋愛ドラマ的なタイトルを探す。どのチャンネルもコマーシャル…。

台所へ行って新聞を手に取った。ついでにインスタントコーヒーを入れてリビングへ戻る。


ソファーに腰を預け、テレビ欄に目を落とす。
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