名も無き花
「あいちゃんさー、少しは声にだしてコミュニケーションしようよ!」

全くもって、ごもっともな意見だが、俺に声を使ったコミュニケーションは向いてない。
なぜなら、声質が悪く相手の耳に言葉が届かないからだ。

顔を近付ければ、普通に話せるだろうけど、そんな事した場合…。

地味な俺とこんな可愛い子が話ていて絵的に痛いうえに、ほかの男の視線も痛い。

それだけは、避けて通りたい道だ。


「あのさ、ちょっとは何か言おうよ?」

不機嫌そうに頬を膨らませて俺の顔を上目遣いで覗きこんでくる。

鼓動が跳ね上がる。
参ったな…。
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