影の守護者は闇に潜む
「ん?ヤザル?」

一番近くの机に座っていた女の人が、こっちを向いた。

「サキさん!昼間からお酒飲んで!」

「酒じゃないわよ、トマトジュース。ところで、『ソレ』、外の…」

その一言で、酒場の人がみんな、こっちを向いた。

「ヤバい…」

ヤザルが苦虫を噛み潰したような顔で言う。

「どうしたんだ?」

ヤザルがにこりと微笑んだ。

「売っぱらって金にする」

「ヤザル!今、なんと言った!」

私は怒鳴っていた。

「こんな嘘に騙される、なんてね…」

嘘?

「じゃあ…」
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