私の彼氏はバッテリー
高校の夏。


グラウンドを響かせる声。
薄汚れた白球が青白い空へと吸い込まれていく。

そんな光景を私は窓から横目で見つめる。

また来る、暑い夏が。
もう学校の生徒は長袖から半袖へと衣替えをして1ヶ月が経つ。

「また見てるの?」
下敷きで扇いでいるクラスメートのせっちゃんが尋ねる。

「ーうん」
視線をせっちゃんに戻し、再び勉強に取りかかる。

そう、今は7月。
私は瀬戸ユミ、高校3年生で受験生真っ只中。

「あ~こんなに暑いと集中できないよっ」
そう言い、ギシギシと椅子を動かす橋川セツコごとせっちゃん。


「暑いもんね」
また私は気になった。


ー彼の事を。


彼は木崎リョージ。
クラスは違うけど、明るい方で、男友達が常にそばにいる。

今、付き合って2ヶ月。

彼はー…


野球部のバッテリー。

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