私の彼氏はバッテリー
第1試合は相手が弱い高校のため、余裕で勝てたという。
当然彼も「こんなのは下調べだ」と、張り切っていた。
次の対戦相手はやや強いらしいが、それでも普段通りに発揮できていれば苦労に越したことはないと。
その2回目まであと3日。
放課後、いつもの自習教室でせっちゃんと一緒に勉強する。
校舎の外からはいつものように野球部の歓声が聞こえる。
この教室は3階にあり、そこから野球部や陸上部、サッカー部の人らが見える。
今勉強している私たちにとって、彼らとは別の世界にいるみたいだった。
「ちょっと休憩しよっか」
せっちゃんの一言で私も鉛筆を机の上に放り出す。
「ちょっと飲もっ」
3階から1階に降り、ドアを開けた所にベンチがあり、その奥には自販機がある。
せっちゃんはいちごオレ、私はココア。
「ー彼とはどお?」
空を眺め、ベンチに深く腰をかけて足を振るせっちゃん。
「いつものように仲良くしてるよ」
と、返してみた。
「ふ~ん」
じっと空を見つめたまま動かない。
「どこかに出かけたりはしないの?」
せっちゃんも知っている、デートをした事がないのをー…