私の彼氏はバッテリー
彼と一緒にいられるのは土曜日の部活帰りと、日曜日の部活帰り。
たまには寄り道して、近くにある駄菓子屋で菓子を食べながら喋ったりする。
それ以外はお互い忙しいし、あまり会えない。
それに、私の彼に対する気持ちも以前より思えなくなってきている…。
今、彼が何を考えているのかも、彼は私の事をどう思っているのかも、わからない。
聞こうにも、やっぱり向こうも疲れてるし、その話をしにくい。
「デートよりも他に大事な事忘れてる気がする…」
ユミも同じように空を見上げる。
真夏の空。
焦がれるような日差し。
木が日陰となって、私らのいるベンチを覆う。
「ーこのまま付き合うつもり?」
せっちゃんの一言。
「…………少し考えてる」
ー多分…、このままいっても互いの気持ちがどんどんズレていくだけ。
「彼の最後の試合が終わったら、別れてみようと思う」
深く…静かに決意をしたユミ。
顔を見ず、ただ空という一点を眺めているせっちゃんは「ーそう」と言い、それ以上は何も言わなかった。
ーそこから少し離れた校舎には、ある男性の影がー………