私の彼氏はバッテリー
ー日曜日の午後。
炎天下の球場で第3試合が始まる。
相手は私たちの県の代表候補にもなる有力高校。
それゆえに、リョージのチームは気合いが違った。
「これに勝てば、代表は間違いなくグッと近づくぞ!」
キャプテンが張り切る。
「おおぉお!!」
チームの雄叫び。
こうして、始まった。
私とせっちゃんは自分の高校の応援スタンドの真ん中で観ている。
踊るチアリーダー。
応援歌を熱唱する応援団。
メガホンで声を張り、叩く野球部ら。
その中ー…
マウンドでキャッチャーとピッチャーが話している。
そう、そのキャッチャーがリョージ。
私はじっと2人のやり取りを見つめる。
話が終わると、キャッチャーはホームに戻る。
その時ー…
彼は手をあげた、こちらに目を向けて。
何の意図なのだろうか。
皆へのサインか、それとも私へのサインなのかー…
スパァンッ
ピッチャーが投げ、その球が吸い込まれるようにキャッチャーのミットに入る。
「アウトォ!」
「ボール!」
「かっとばせーっ!」
あらゆる声が球場で木霊している。
ー祈りは届かなかった。