私の彼氏はバッテリー

終盤を迎えた試合。

監督は険しい顔をする。
「………代わりのキャッチャーを出すか?」


その言葉を向けたのはリョージだった。

「…………」

実は冷却スプレーでも効かないぐらい足が青く腫れ上がっていた。


当たりどころが悪かったのだろう。

立つことすらもままならない。



もう一つの最悪な状況は、0ー3で明らかにこっちが負けている。

そして、最終回の表だった。



監督が判断をリョージに委ねたのは、もうチームではなく、個人の気持ちを優先したいがために。



「監督、出ます」

「立つ事すらも困難だろう、なぜそこまでする必要がある」

腕組みをし、じっとリョージの目を見つめる。


リョージは足は震えたままだった。

「………見てくれる人がいるからです。その人に伝えたいために最後まで立ちます」



そう言い、監督の目を見つめ返す。


しばらく思い込んだ後…顔をあげてリョージにいう。
「そこまで言うなら…お前のバッテリー根性を見せろ」



「はいっ!」


リョージはマスクを取る。
歩きだし、待機していたピッチャーの背中を叩きー…


「行くぞ」
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