私の彼氏はバッテリー
「ー…え…っ」
学校の帰り、「ユミ」と私の名前を呼ぶ声がしたため、振り向く。
声の主は、角刈りをして、肌は小麦色。
いかにも若さを象徴するニキビがある。
それでいて、キリッとした今流行りの眉毛に黒光りが目立つ瞳。
カッコいいわけでもカッコ悪いわけでもない、ごく普通の健康男性。
確か、彼は去年は同じクラスだった木崎リョージ。
同じクラスといっても体育祭や文化祭の取り組みに少し話しただけで、それ以上の仲ではなかった。
その彼が私に何の用だろうー…
それにー…去年は私の事を『瀬戸』と呼んでいたのに、何で今は『ユミ』となっていたのかも気になる。
「ー…あのさ」
ようやく、さっきまで何かをためらっていた彼の口が開く。
と思ったら、またためらう。
その上、顔が少しずつ赤くなっていくのがわかった。
それがいまいち私は理解出来なかった。
彼は何が言いたいんだろう…
一回深呼吸してから、じっと目を見つめられる。
ードキッ…
心を何かで打たれたような音がした。
「ユミ…、俺はユミが好きです!俺と付き合ってくださぃ!」
ーそれは紛れもなく告白だった。