私の彼氏はバッテリー
翌日、HRが終わるのと同時に放課後になる。
せっちゃんと一緒に野球部を覗きにいった。
太い柱が何本か立っていて、そこにネットがかかっている。
理由は他の部活者にボールが当たらないようにしているのだという。
スパァン
スパァン
ボールがミットに吸い込まれるたびに弾けるような音がする。
「今マウンドで速い球を投げているのがピッチャーよ」
せっちゃんはそう言い、ピッチャーのほうに指を指す。
続いて、その球を受けている人を指す。
「あれがバッテリー、木崎ね」
木崎ー…リョージ。
マスクをかぶって、体に黒く重いモノを着ているのが木崎君。
一球一球とボールを丁寧に受け止めている。
一球一球とボールをピッチャーに渡すたびに「いぃ感じ!」とデカい声を出す。
ドキドキ…
昨日よりも強くなってくる胸の鼓動。
ー私、気になっている…?
気付けばせっちゃんが呼び掛けられるまで、彼を見ていた。
「バッテリーは常に周りを見て、皆が動きやすいように指示をしないといけないの。
バッテリーの働き1つでチームのまとまりが変わっていくから」
せっちゃんが説明してくれる。