Pinky
何?

教室には私しか居なくてすごく怖くなった。
元々が怖がりなんやけど…

5月上旬の空は7時過ぎるともう辺りは暗かった。

暗闇は嫌い。
こんな遅くまで残らんかったらよかったなぁ…


バタバタバタ

ガラッ


「美緒、おるか!?」

息を切らした啓が汗だくで私に駆け寄った。


廊下を走っていたのは啓だった。


「啓?何で…。」

私の声は震えてた。

「文化祭のやつ俺すっかり忘れてたんや。1人でこんな遅くまでやんのなら俺に言えや。」


そう言って私の頭を優しく撫でてくれた。


「家電話かけても出ぇへんし、めっちゃ心配したんやで。」


「うん…」


気づけば涙はまつ毛の手前までたまってた。

こんな些細なことだけど、

怖かった…

啓が来てくれた…

それで安心したからなんやと思う。


「お前1人にやらしてごめんな。」

私は首を横に振った。


< 15 / 226 >

この作品をシェア

pagetop