Pinky
「…ってぇ……。」



かすれる声が聞こえる。



「あ…ごめ…。」



あれ?


ふと窓を見ると空がオレンジになっている。



「やっと起きた…。」



安心した声で啓がぎゅうっと私を抱き締める。


あ…

そっか。





私、寝ちゃってたんや。


じゃあ…さっきのは



夢…?


「お前、どんな夢見てたんや?ずっとうなされてて…心配したんやで?」



夢の中の啓と正反対の啓。
私が知ってる啓。

抱き締められた胸から少し速い鼓動が聞こえる。




「け…い?…本物…やんなぁ?」



安心感と愛しさから涙が溢れた。
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