Pinky
啓の態度はいつもと変わらない。


学校に着いてからも昨日見せた迷惑そうな顔は全く見せなかった。



昼休み、奈々は私を廊下に連れ出した。


「美緒、大丈夫?」


「え…。」


「え…じゃなくて、啓にあんな事言われて大丈夫なの?」


…大丈夫やないに決まってるやんか。



「だって、啓には好きな人がいるんやから…あんなこと言われてもしょーがないねん。」


やば…涙出てきた。




「やっ…啓が好きな人は!」


奈々が言いかけたその時!



「おい!奈々!!」


「あ、ごめ…。」



啓がいきなり教室から出てきた。



2人は目でやりとりをしているかのように会話もなしに分かりあっているようだった。



…隠し事?




「ね…何か隠し事してんの?」



なんかイライラする。

私だけ知らない事みたい。


「ちがうの、美緒。これはね…。」


奈々が焦りながら言う。



「別になんでもねーよ。」

啓が笑ながら誤魔化すように言う。



今の私にはその仕草は逆効果。



「じゃあ、教えてや。」


怒った口調で言った。


「え…美緒?」


啓は思わぬ私の反応にかなり焦っていた。



「私には言えないこと!?」


「お、おい。落ち着けって。」



私はその場に居たくなくなったから走り去った。



その時、私は「美緒!」と呼ばれたのは分かったが、てっきり啓は追いかけてきていないもんだと思っていた。



走って走って、校舎の裏に行こうとして角を曲がった。



ドンッ!





!?
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