Pinky
「んじゃ、お前は好きな奴誰やねん。」


「何で私が先に答えなあかんのよ。先に聞いたのはこっちやん。」


啓は言葉を詰まらせる。



「誰?」


私はしつこく聞いた。



「……今のお前には言いたくない。」



は?

意味不明。



「なんで!?」


「なんでもや。」



そう言って啓は走って階段を上り始める。


そして、8段駆け上がったところでピタリと止まる。



「さっきの…佐久間に……簡単に触らせたりすんな。」



ポソ…っと言ったから私にはよく聞き取れなかった。




さっ君?


もしかして全部見てたとか!?



「…っ!!…覗き?あ、悪趣味ーっ。」


いきなりさっきまでとは全然違う真剣な眼差しにドキドキしてしまう。

私は今、怒ってるねんから…。


こんな状況でもドキドキさせられるのが悔しい。


「うっせぇ。」


目を合わそうとしない啓は耳まで真っ赤。



そう言うと先に教室に行ってしまった。

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