Pinky
11年ぶり?ぐらいの再開に2人ともビックリしていた。

「今の…、彼氏?」

佐恵子さんは直哉くんの後ろ姿を見ながら言った。


「え、違いますよー。私、彼氏いませんから。」

そう言って笑った。


「そうだったの。ところでお兄さんは元気かしら。」
「はい。お兄ちゃんも元気で、今は充実した生活をおくれてます。」

「そう…。」


うわ…嫌な雰囲気。

私、本当は佐恵子さん、嫌いなんよね。

今も充実してるって言ったとたん、笑顔が消えるんやから。


私達の幸せを願ってや。

…だから嫌い。


お母さんやお父さんが死んだ時、本当はこの人の家に預かる話だった。

でもおばさんは私達を邪魔だと言った。

正確には、おじさんと話している所をお兄ちゃんと私は目の当たりにしてしまった。


「親切で預かってあげるって言ってたのに、美緒ちゃん達、いきなり2人で暮らすって言い出したんだもの。」

「はぁ…。」

でたでた。
嫌みだなー、この人も。

早く家に帰りたくなった。だから無理矢理話を終わらせようとしてこう言った。


「それじゃあ、今日ちょっと用事があるので…。」

ペコリと頭をさげて返事も待たずに走って逃げた。


お兄ちゃんの悪口を言う人は許さない!

嫌いや、あんなやつ!



私は今日、怒ってばっか。
「疲れた…。」

家に帰ってくるなりベッドに倒れ込んだ。
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