Pinky
「ごめん。…怒った?」

恐る恐る聞いてみる。


「違う。隣の……。」

それだけ言うと南はさっさと玄関を出ていってしまった。



…隣?

啓の部屋がどうしたんやろ。

そこまで深く考えなかった。


「あれ、南帰ったんか?」

「うん…。」


そのまま部屋に戻った。

今日はお兄ちゃんが晩ご飯を作ってくれるらしい。


南…全然話さないのかと思ってたけど、意外と喋るんやね。

すると…


ピンポーン


またか!

次は誰なんやろ。



「はい。どちら様で…。」

ガチャリとドアを開けて玄関にいたのは、勇斗兄ちゃんだった。


「なんだ。勇斗兄ちゃん…。」


啓じゃなくてよかった。



今会ったら気まずさ倍増!
…する事間違いなし。



あれ?もしかして…

「…と啓。」



勇斗兄ちゃんで隠れて見えなかった。

啓は玄関から少し距離をあけて立っている。


私と目も合わそうとしない。


勇斗兄ちゃんは「お邪魔しまーす!」と言って、サッさとリビングに行ってしまった。


…ほら。

だから気まずいんやって。
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