Pinky
しまった…!

というような顔をしている奈々。

私はぼーっとその光景を見ていた。


私の視線に気づいた鈴ちゃんが私を見てきた。


「あ!美緒お姉ちゃーん!」
大きく手を振る鈴ちゃん。

「えっ!?み、美緒??」

啓は慌てて鈴ちゃんを自分から剥がした。


啓を哀れむような目でじーっと数秒間見てから私は

「鈴ちゃん、元気やね。」

笑って言った。


「うん!鈴ね〜、風岡先輩にデートしてって頼んでるのに全然相手してくれないの。」


…だから私にどうしろと……。


「だからね、美緒お姉ちゃんからも頼んでくれないかなぁ。」


…。

「別にいー…。」



グイ!!

「ごめんね。私達、今忙しいんだ!そういう事は自分で頑張った方がいいよ。」
奈々は私の口を押さえ、無理やりな断り方をした。

そのままグイグイ職員室まで連れていかれた。



「ちょっと美緒!!今さっき『別にいーで。』って言おうとしてたでしょ!?」

「…だって。」

ムカついてたんやもん。
なんか開き直ってしまったんやから…。


「あんな奴、誰とでも仲良くしてればええねんっ!!!!!」


「…そーとーキレてるわね。」



でも、そのウチイラつきが収まると今度は奈々に止めてもらったことに感謝し始めた。


…やっぱ、言ってたらまずかったな。

止めてもらっといてよかった。
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