Pinky
倒れそうになった私の背中を支えてくれたのはお兄ちゃんだった。



啓は風邪で熱が急に上がったから気を失っただけならしい。



「お兄ちゃん、仕事は?」


「あぁ、忘れ物取りに来ただけやねん。啓の看病は任せたで。」


「うん。行ってらっしゃい。」






お兄ちゃんが出て行ったのを確認すると、啓の寝てるベッドのそばに座った。


「風邪ひいてたんだ…。」

そう言って啓のを手をにぎった。

「気づいてあげれなくて、ごめんね…。」


きっとしんどいから私に助けを求めて家に来たんだ。

それを私は気づかずに自分の事ばっかりで泣いて、心配かけて…。


あ…やば。
また泣きそうになってきた。



「泣くなよ。」


顔をあげると少しふてくされたような、少し赤い顔の啓がこっちを見ていた。



「もう…大丈…。」


「大丈夫や。それ言うならお前。」


私の言葉を遮るように啓が言った。
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