涙の雫が地球を癒す時

　バサバサと羽を上下に動かしながら飛ぶ龍を追い掛け、悠太は前を見ずに上だ
けを見てバイクで走り続けた。
すると、悠太の目の前に待っていたのは…滝だった。

「うわ～！」

　悠太はバイクのまま滝の中に落ちていってしまったのだった。

　そして、龍に連れ去られた私はというと龍の洞窟のような場所で倒れていた。
それから少しして目を覚ますと、目の前には私の顔を覗く龍の顔があった。

「きゃあ～！」

　私は意識が朦朧としながらも龍から離れ、逃げようとした。
でも、入り口は龍の横を通らなければ逃げられないし、後ろはもう既に行き止ま
りだった。
その間龍は私に近づいてきて、私の顔を不思議そうに大きな目で見つめていた。
その龍の顔がなんとも言えず、心の中では可愛いと等余裕をかましている私であ
った。
それでもやはり龍にとって私は餌とかし思われていない。
龍は私の方へ顔を近づけてきた。

「やだぁ！食べないでよ～！私なんか美味しくも甘くもないんだよ～…」

　私は泣きながら龍の方へ手を伸ばした。
すると龍は私の手に鼻を近づけ、最終的には私の手をなめていた。

「え、ちょっ…あは、あははは！くすぐったいよ！ははは！」

　私は龍への恐怖心も忘れて笑いながら地面に座り込んだ。
更に龍は私の手をなめ終わると私の顔を嘗め、涙を拭いてくれた。

「…食べる気じゃ…ないんだ。君優しいだね…名前は？何て言うの？」
「クー…」

　見た目とは裏腹に龍は凄く可愛い声を出していた。
その声の可愛さに、更に私は龍に惚れた。

「うっわぁ～…可愛い。名前、ないのか？そっかそっか…んー…じゃあねぇ～…
ん～…ルーとか！如何？」
「クー♪」
「よしっ！決まりね！」

　ルーは嬉しそうに私に大きな体を摺り寄せてきた。
そんなルーのことを、私は優しく抱き締めた。

　そういえば、私を助けようとしてくれた悠太はどうなったのだろう？
無事だと良いけどな…