涙の雫が地球を癒す時
「…もしもし…」
「…。貴方は…空澄霞ですね?」
「…え?あ、はい…そうですけど…」
「今から貴方に一つの問題を出します。大きな画面の前に来なさい。そうすれ
ばこの異常気象の原因が分かりますよ。さぁ、早く来ないとこの大雨は止みま
せん。貴方と悠太に全てがかかっているのです。」
「ちょ、一寸待ってください!出し抜けにそんなこと言われても…貴方は一
体、誰なんですか?」
「急ぐのです、空澄霞。」
「あのっ!」

 電話の主が誰か分からないまま、電話は切れてしまった。
悠太は不思議そうに私の方を見て何かを言っていたが、それよりも私は大きな
画面の事を最優先に考えていた。
大画面とは、一体何のことなんだろう…
この近くでまず大画面の何かがあるところはない。
そうすると遠い所にその大画面はあるのだろうか?
悠太の話を聞かないまま、私は悠太に質問した。

「ねぇ悠太。大画面のあるところって何処だと思う?」
「え?大画面?…んー…大画面って言ったら…」
「あ!」
「あ。」
「「渋谷の液晶テレビ!」」

 私と悠太は同時に叫んで指を差し合った。

「ねぇ、それが如何か…」
「急がないと駄目なの!」

 私はそれだけ悠太に言い残すと大雨が降る中駅まで走り出した。
『一寸…』と悠太は呟いて私の後を追いかけて走り出したのだった。
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