消えない想い
近くの人に聞いてみた。
「なんかカッコいい人がいるみたいだよー!!」
・・・・・胸が騒いだ。
もしかしたらという期待がふくらむ。
「千佳っ・・・ちょっと行って来る・・・!」
私は廊下に出て女子達の間を
潜り抜けた。その瞬間優希君の姿が見えた。
「・・・っ」
声をかけなきゃと思うのに声が出ない。
隣からの急な声。
「あの子かっこいいよね。」
私の横には、見知らぬ女の子がいた。
「え?」
「ちょっと話してこよっかな」
そう言って優希君の近くに行き、話していった。
周りがうるさくて何を話しているのかは聞こえない。
でも優希君が笑っているのは分かる。
嬉しいはずなのに何故か心の奥が痛い。
「楓、今の子誰?」
「さぁ?」
本当誰だろう。
それより私、優希君に声かけなきゃ・・・
でも今の私には話しかける資格がない。
「先輩」
急な声に振り向くと優希君が居た。
どうしよう・・・何て言おう・・・
「昨日はすみませんでした」
-え?何で謝っているの?
「っ・・・」
声が出ない。何て言えばいいの?私は思わず
視線を逸らした。その先にうつったのはさっきの
女の子で・・・私を真っ直見据えていた。