初恋
何事も、なければいいのだけれど――

あたしの不安は、毎日募る一方だった。


『クリスマス、どうしようか』


先生からそんなメールが来た時も、素直に喜べない自分がいた。


『バイトは、忙しくないんですか?』


あたしもイヤミなやつだ。

やきもちって自分でもわかってる。
でもこんな風にしか――先生にあたることしかできない。


『さすがにクリスマスまでバイトいれるほど、おれもバカじゃない』


先生のメールも――そんなあたしに気づいてなのか、いつもより少し冷たくて。

あたしはますます苦しくなる。


先生を、信じてるはずなのに――

自分でもどうしようもないくらい胸が騒いでしまう。





おかげで、二学期の期末テストは今までにないくらい最悪な結果だった。


「イブとクリスマスは、学校終わったらまっすぐ家に帰ってきなさい」


お母さんにもそう言われてしまい、あたしは泣きそうになってしまった。

あれからせっかく――先生と、24日の放課後に会う約束をとりつけたのに。


「はぁ――」


切ない思いは、片想いのころより強いかもしれない。
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