初恋

星降る夜に

あのクリスマスイブの一件以来、連絡が取りづらい状況になっていた。


冬休みに入って、夏休みと同じように午前中だけの課外授業が始まっても――先生からの電話は、こない。

もちろん、勉強に身が入るはずもなかった。



ケンカをしても――いくらあたしの方に非があっても、必ず先生が折れて、電話をかけてきてくれた。

でも今回ばかりは、先生の着信音が鳴らない。



あたしは悪くない。

そう決め込んで、素直になれないあたし。



ほんとは会いたいのに――先生の声が聞きたいのに、意地を張る自分がつくづく嫌になる。


あたしはまだまだ子どもだ。





そうこうしているうちに、先生と仲直り出来ないまま――年が明けてしまった。


大晦日と、正月の三が日をはさんで――再び冬休みの課外が始まった。


数学の公式をノートに写しながら――

あたしは窓の外を眺めていた。


すると、カバンの中に入れてあるマナーモードのケータイが、かすかに振動したような気がした。


こっそり取り出すと、“着信音あり”の文字。



――先生からだった。
< 123 / 280 >

この作品をシェア

pagetop