初恋
「うるさいわねー!あたしだって上手く作れるもん」


隣に座る雄太までにやにやしだした。


「ほんとにぃ?」


雄太の肩を叩いていると、向かいのお父さんがつぶやいた。


「雄太くんは――やっぱり学校は大変か?」


「うーん、今はまだヒマなほうですね。零ちゃんに比べたら」


そう言って雄太は、隣に座るあたしを見た。

そこでお母さんがあきれたように口をはさむ。


「ほんとに零は――将来どうするんだか」


ハンバーグを箸でつつきながら、あたしはもろに顔をしかめた。

今は、そんな話はしたくない。


「零ちゃんなりに考えてるんですよ。きっと」


横から雄太が助け舟を出してくれたおかげで、それ以上深く突っ込まれることはなかった。





後片付けをし始めたお母さんの背中を見つめながら、あたしはぼんやりと考えを巡らせていた。

もっぱら最近の悩みと言えば――将来のこと。


アキに言われて以来、雄太との今後が頭を悩ませつつある。

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