初恋
でももう、先生とのつながりは全部自分から捨ててしまった。


“もう会わない”って言ったのもあたし。

今までずっと残し続けていたケータイのメモリも、もう消してしまった。


もう二度と、先生に会うことはないように思えた。



でももし、奇跡でも起これば――

それはきっと、はじめからそうなる運命だったんだろう。



そしてその奇跡は、思わぬ形で姿を現した。







卒業研究のための資料を探しに、学内の図書館をうろうろしていた。


うちの大学の図書館は、一般にも開放されていて、かなり広い。

建物も新築したばかりの４階建てで、専門書の数ならどこの大学にも劣らないと思う。


そんな恵まれた図書館なのに、あたしは正直あまり利用したことがなかった。

おかげで、４年になった今も――館内で迷っている。

数学の専門書を探しているうちに、いつの間にか文芸のところにまで迷いこんできていた。


早く館内案内図を探さないと、と慌てていると、ある本がふと目についた。


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