初恋
明日のことを思うと、ぞっとするほど胸の奥が震えた。

たった一日だけだが――やっと、先生を取り返せるんだ。


その時、メールの着信音が鳴った。


――先生かな?


明日の予定のメールなのかと思い、あたしは浮かれたまんまでケータイを手にとった。

ケータイを開くと、そこには見覚えのあるアドレスと名前。



『明日の夜、うちにおいで』



雄太からだった。

その瞬間にケータイが手からすべり落ちたが、それを拾いあげることすらあたしにはできなかった。


夢から醒めたようになり、一瞬で身体中から血の気が引いていくのがわかる。


あたしのことをこんなに想ってくれる雄太を――あたしは裏切っていいのだろうか。

ふたたび、堂々めぐりが始まる。


でもあたしは、今回ばかりはわかっていた。

この堂々めぐりが、何の意味もなさないことを。


雄太にばれてしまおうと、止められようと――

あたしの気持ちは完全にかたまっていた。



この先生を思う気持ちは――自分でも、止められないのだから。


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