初恋
でも現実が、そんなに簡単にあたしを許してはくれないことだって、あたしは知っている。
「――飲みなよ」
そう言って雄太が出してくれたのは、いつかのキャラメルミルクティだった。
肌寒くなってきたこの季節に、この甘い香りはなんともいえぬ幸せな気持ちになる。
マグカップは、一昨年のクリスマスにふたりで買った、おそろいのペアマグ。
これもついに、使わなくなる日がきちゃうのかな。
「大事な話って言うと、なんか改まっちゃうからイヤだな」
色違いのマグカップに同じものをいれながら、雄太が困ったように笑った。
その表情からは、なかなか心の中は読み取れない。
大事な話。
そういえば、先生からもそんな言葉を聞いたことがあった。
でもあの時は結局、その内容を聞くことはできなかった――
きっとこれから先も、一生聞くことはないだろう。
外の世界に出れずに消えてしまったその言葉に、あたしは思いを馳せた。
今さらながら気になってしまう。
先生はあの時、何を言おうとしていたの?
「――飲みなよ」
そう言って雄太が出してくれたのは、いつかのキャラメルミルクティだった。
肌寒くなってきたこの季節に、この甘い香りはなんともいえぬ幸せな気持ちになる。
マグカップは、一昨年のクリスマスにふたりで買った、おそろいのペアマグ。
これもついに、使わなくなる日がきちゃうのかな。
「大事な話って言うと、なんか改まっちゃうからイヤだな」
色違いのマグカップに同じものをいれながら、雄太が困ったように笑った。
その表情からは、なかなか心の中は読み取れない。
大事な話。
そういえば、先生からもそんな言葉を聞いたことがあった。
でもあの時は結局、その内容を聞くことはできなかった――
きっとこれから先も、一生聞くことはないだろう。
外の世界に出れずに消えてしまったその言葉に、あたしは思いを馳せた。
今さらながら気になってしまう。
先生はあの時、何を言おうとしていたの?