初恋

勇気

今日も、教科書とにらめっこ。


「はぁ...」


7月にあった1学期の期末テストは、散々な結果だった。


『沢村!どうした?――これじゃあ、南高はちときついぞ』


『すみません...』


『夏休み、気を引きしめて頑張れよ!9月の実力テストで挽回するように』


担任の宮崎先生は、厳しいけれどもいい人だから――あたしのこと、本気で心配してくれる。

けど。

あたしが成績落としたのは、全部、あなたが世話した教育実習生のせいなんです!


6月の終わりに教育実習を終えた鶴城先生は大学にもどって――

あたしはそれ以来、鶴城先生のことで頭がいっぱい。


まぁ、そんなことで先生に責任転嫁しちゃダメだよね。



『――おまえにかける勇気があるんなら、だけど』



ニヤリと笑った先生の顔が忘れられない。


もう!
せっかく番号教えてくれたのに、

電話なんて恥ずかしくてかけらんない。


「でも、番号教えてくれたんだから...電話かけても迷惑じゃないんだよね、きっと!」


独り言で自分に言い聞かせる。
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