初恋

勉強会へのお誘い

秋も深まる11月。


「この調子ならだいぶ問題ないな。ただ、やっぱり数学が弱いから――これからは数学を重点的に補強すれば、南高もじゅうぶん行けるぞ」


この前あった模試の結果はまずまずだった。

偏差値も、数学以外の4教科はかなり上がってきてるし。


『これからは数学を鍛えろ、だそうですよ』


家に帰って、宮崎先生に言われたそのままを報告。


『おまえ人事だな。で、数学の偏差値いくつ?』


『51です。だいたい(^^ゞ』


『低すぎる。致命的。他は?』


『他はほとんど58ぐらい』


『やっぱり数学か。わかんないところは?』


『全部です。特に二次方程式!』


こんな他愛もないメールができることが、嬉しくてたまらない。

思わず、顔がほころんでしまう。


そこで、いつもレスの早い先生のメールが途切れた。




そして、約10分後。

先生専用の、メール着信音が鳴って――



『勉強会開催。新田町のファミレスにて』


思いがけないメールが、来てしまった。

やばい!


『意地でもおれが数学の偏差値上げてやる。絶対来い』
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