初恋
何より、先生に会ったら、

うまく喋れるか、服が変になってないか、ネックレスのチェーンのとめ具が回ってきてないか――


いろんなことが気になって、勉強なんかに集中できるはずないよ!


それに、目の前には大好きな鶴城先生がいる、この状況。

想像しただけで、ほっぺたが赤くなる。


ああ、きっとテンパって、ジュースとかこぼしちゃうんだろうな。

息抜きになんか食べようとしても、あたしのことだから、すぐポロポロ落としちゃうのよ。

そんなあたしを見て、先生も苦笑いするしかないんだろうなぁ。


ネガティブにネガティブに、あたしの妄想は膨らんでいく。


あぁ!
行きたいけど行きたくない!



でもやっぱり、先生の顔が見たい。

あの教育実習から半年近く経つから――ずいぶんと久しぶりに、先生に会えるんだなぁ。



会いたい。

純粋に、先生に会いたい。


でも、中学生のあたしには、自分を綺麗に見せる術がなくて――
先生に、ガキだと思われたくないから、

やっぱり、会うのをためらってしまう。
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