初恋
「もう5時間経ったもんな――まぁ仕方ないか」


「5時間も勉強したの初めてです」


先生は笑った。


「じゃあ今日は終わりかな。何か食べるか?」


ほんとはお腹がすいてたから、ガッツリご飯を食べたかったのだけれど、


「えっと...チョコレートパフェを」


とりあえず、可愛く注文できそうなものを頼んでみた。





「でもほんと、今日はありがとうございました」


「いやいや」


長いスプーンで生クリームをすくいあげていると、なぜか先生も反対側からパフェをつつきはじめた。

よく考えたら、ふたりで1コのパフェを食べているこの状況。


なんだかすごく恥ずかしくなってきてしまった。


「――先生も、パフェとか食べるんですね」


「ああ、俺けっこう甘党なんだよね。パフェとかケーキとか平気で食べる」


ちょっと意外だった。


「ケーキバイキングとか付き合わされても、一緒にいた子より俺のほうがたくさん食べてたりするし」


やっぱりその――、一緒にいた子っていうのは、女の子なんですか?

チクリと、胸が少し痛んだ。
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