初恋

予想外

「先生!ありました!あたしの番号、3103」


白梅の可憐な花が満開の、新しい学び舎。


合格発表にひとりで来たあたしは、この喜びを親でもなく、担任でもなく――

一番に、鶴城先生に報告していた。


『見間違いじゃないだろうな』


「はい!バッチリ3回確認しました!」


電話口の向こうの先生は、至って冷静で。


『――おめでとう』


でも先生は、笑っているようだった。


『頑張った甲斐があったな』


「ほんと、ありがとうございました!嬉しくて、やっぱ先生に一番に報告しちゃいました」


『まずはお母さんに報告だろ』


「あはは、そうでした。普段は無口なお父さんまで、今朝は落ち着きがなかったですよ」


『なおさら。ケータイにでも電話してやれよ』


「そうします!今から学校にも行って、宮崎先生にも報告してきますね」


『そうしなさい。手があいたら、メールでもくれ』


「はーい」


電話を切ると、受験が終わって晴れ晴れとした気持ちになった反面、なんだか切ない気持ちにもなってしまった。

先生との繋がりも、だんだん薄くなっていく気がして。
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