初恋
『合格祝いに、なんかメシでも連れてってやるよ』


ふと、先生がそんなことを言い出した。

受験も終わって、もう勉強会も必要なくなって――先生に会える機会なんて、そうそう無いと思っていただけに、予想外だった。


『いいんですか(>∀<)でも、勉強教えてもらっただけでもありがたいのに...』


『いいよ。入学式ぐらいまでに、いつか行くぞ』


思わず、にやにやしてしまう。

これってデートだよね!



恋をすると、なんでこんなにも世界が明るくなるんだろう。

すっごく幸せな気持ちになれる――恋って、素敵なもの。


でも最近、先生の気持ちが気になって仕方がない。

好きっていうだけじゃ、物足りなくなってきたあたし。


先生はあたしのことどう思ってんのかなぁ...。


最近のメール――なんだか、先生もあたしのこと好きなんじゃないかって、自惚れそうになってしまう。

そんなこと考えてしまう自分が恥ずかしい。


『じゃあ、31日の12時に』


うん、やっぱり――


「お母さん!服買って!」


大事なデート、うんとオシャレしていこう。
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